動物看護師に求められる能力について
皆さんは動物看護師にどんなイメージを持っていますか?
動物たちと毎日触れ合えて楽しそうと思う方も多いのではないでしょうか?
ですが、動物看護師は実際はとてもハードな仕事です。
仕事をするうえで様々な能力を必要とします。
このようにさまざまな能力が求められるのは、動物看護師の仕事は毎日同じことの繰り返しではなく、いろんな出来事を乗り越えなければいけないからです。
ここでは動物看護師にはどのような能力が求められるのか?をお話しします。
目次
動物看護師に求められる能力
飼い主さんや動物とのコミュニケーション
飼い主さんとのコミュニケーションを取ることはもちろんですが、動物看護師は犬や猫、その他の動物ともコミュニケーションを取ることが大事です。
動物たちは私達人間をよく見ています。
「この人間を信用していいのか」「心を許していいのか」と考えています。
そんな動物たちは言葉が話せません。
動物たちの様子を観察し、動物たちの心を読みながらコミュニケーションを取ることで診察をスムーズに進めていかなければなりません。
チームワーク
動物病院によっては複数の獣医師や動物看護師、その他の仕事に関わるスタッフがいる場合もあります。
その時の状況によって全員が協力しあわなければ出来ない治療・手術などがあります。
獣医師の指示の元、全員で連携して行っていかなければいけません。
そして一人一人がその役割に責任を持たなければいけないのです。
その動物の命を預かっていることを忘れてはならないのです。
動物が好きなだけではできない
なぜ動物看護師になりたいか?を聞くと、全員がと言っていいくらい「動物が好きだから」と答えます。中には「人が苦手だから」という人もいます。
治療の甲斐なく亡くなる動物がいます。
その動物の死に耐えられなくなって動物看護師を辞める人は意外と多いのです。
私も初めて「死」と向かい合ったとき、あまりに悲しすぎて飼い主さんと一緒に号泣しました。
これから先、「死」とどうやって向かい合っていくべきか?この仕事を続けていくことができるのかと悩みました。
たどり着いた答えは「死は避けては通れない。それならばきちんと受け入れる精神力を養わなければならない」というものでした。
ここで間違ってはならないことは「死に慣れる」ということだと思っています。
嫌な言い方ですが「慣れちゃうんだよね」と言う人達もいました。
でも私は「死をきちんと受け入れる」と「死に慣れる」ということは違うと思っています。
その答えは自分で見つけていくものだと思います。
人間相手
人が苦手だから動物相手の仕事を選ぶという人もいますが、動物看護師は飼い主さんという人間相手の仕事です。
飼い主さんからその動物の症状を聞き、飼い主さんの疑問などを聞いていろいろなことを判断します。動物だけと関わる仕事ではないのです。
いろいろなことに気を配る
動物病院に来院した飼い主さんや動物に気を配ることは重要です。
犬が苦手な飼い主さんもいます。猫に反応して吠えたてる犬もいます。犬を飼っていても他の犬は恐いという方もいます。
そんな時にどう対応するかを瞬時に読み取り、行動しなければなりません。
弱った仔猫を連れてくる方はとても多いです。
その時の仔猫はほとんどが体温が下がり、体は冷え切っています。体を温めるよう配慮しなければなりません。
アンテナを張り巡らせる
診察中も動物だけを見ていては診察は進みません。獣医師がこれからどんな治療をするかによって動かなければならないのです。
また、動物にも飼い主さんにも気配りが大切です。
愛犬が注射をされるのを見たくないという飼い主さんも多いので、そんな飼い主さんたちのフォローもしなければならないのです。
常にアンテナを張り巡らせ、状況に応じて即、行動するということが求められます。
何事にも耐えられる
飼い主さんにもいろいろな人がいます。
動物をひたすら甘やかしていて治療中に「かわいそうだから痛いことしないで!」と叫ぶ人、動物を連れてきて半狂乱になる人、治療費が高いと文句をいう人などたくさんいます。
そんな飼い主さんの無理難題を聞くことも仕事のうちなのです。
また、治療中に犬に本気で噛まれたりということもあります。
そんな事態に耐えることが出来ずに辞めてしまう看護師もいます。
獣医師にも他のスタッフにも
重症の動物や、緊急手術などの時には獣医師もスタッフもピリピリしています。
そんな時にはつい、声を荒げてしまうこともあります。
そんな時に泣いてしまう動物看護師を多く見てきました。
そのまま病院を飛び出して行った人もいます。
忍耐力を養うことが大事です。
毎日が戦争
忙しい病院は朝1番から患者さんが来院します。開院前から待っている場合がほとんどです。午後の診察が終わるまで目の回る忙しさです。
私が最初に勤務した動物病院は昼休みはないに等しい病院で、昼食時間は10分あればいいほうでした。それが毎日続いていました。
残業も当たり前のようにあったので家に帰るとそのままベッドに倒れ込むということもありました。
力仕事も
動物看護師は女性がほとんどです。
体重が30㎏以上の大型犬や60㎏ほどの超大型犬を診察台に乗せることもあります。
ドッグフードや薬品もかなり重いものもあります。
それらを運ぶのも動物看護師の仕事です。
体力がなくては出来ないのです。
まとめ
動物病院は毎日が同じ作業ではありません。予期せぬ出来事がたくさん起こります。
他にも動物の排泄物や吐いたものを掃除することは日常茶飯事です。
自分も汚れることは当たり前なのです。
助けられなかった動物を前に自分の無力感に打ちひしがれることもあります。
そんないろいろな事態を乗り越えられるのかが重要な課題であり、乗り越えて動物たちのために尽くしていけるかということを求められているのです。