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パピーウォーキングの修了

コラム
この記事は約 7 分で読めます。

盲導犬候補の子犬を生後約2ヶ月から1歳になるまで家庭に預かって育てるパピーウォーカーの役割が終わる日が必ず訪れます

パピーウォーキングが修了する日を迎えるまでは以下のように過ごします。

パピーウォーキングの修了を迎えるまでについて
盲導犬候補の子犬が1歳になる頃にパピーウォーキング修了式を行う
パピーウォーカーの元を離れた子犬は訓練施設へ入所する
子犬との別れを考えると涙が止まらなくなるほど寂しい
施設へ入所するまでは盲導犬候補の子犬と楽しい思い出をつくる
修了式に合わせてグッズを盲導犬協会に返却する
修了式では今後子犬が歩む道を説明される
節目ごとにパピーウォーカーに連絡を入れてくれる

子犬が1歳になると、パピーウォーキングを修了し、訓練に送り出さなければなりません。

パピーウォーカーと子犬との別れ。そしてその後について現役パピーウォーカーの筆者がお話します。
 

入所が近づく

1歳が近づくとパピーウォーキング修了式の日程が告げられ、訓練施設への入所日が決まります。
 

入所前のパピーウォーカーの気持ち

1歳になったらお返しすることははじめからわかっていたことで、子犬を預かった時には立派な盲導犬になれるように一生懸命お世話する!と心に誓ったはずなのに、いざ入所を目前にすると涙が止まらなくなります。

出会いがあれば別れがある。それは世の常で、10ヶ月、色々なことがあったけれども、無事健康で訓練に送り出すことができることは何よりの喜びと自分に言い聞かせます。そして冷静に考えると全くそのとおりなのです。

ただ、10ヶ月の生活があまりにも濃厚すぎて、気持ちに区切りがつけられなくなってしまいます。

これは何回パピーウォーカーをしても同じなようです。それぞれの子犬との10ヶ月は全部違っていて、それぞれ思い出深いものだからでしょうか。

もう何頭も何頭も送り出しておられるパピーウォーカーの大先輩も「入所は慣れるものではない。私また泣く。」とおっしゃっていました

私なんて、恥ずかしながら何かが起きて、入所がなくなったってことにならないかなんて考えてしまったりします。
 

入所前の過ごし方

入所が近づいたら、最後の思い出つくりにと家族旅行に出かけるご家庭もあります。

入所直前には子犬の1歳の誕生日がありますから、兄弟犬のパピーウォーカーで相談して集まって、子犬たちのバーズデーパーティーを企画することもあります。

お別れが近く複雑な気持ちも混じりますが、誕生日はやっぱりめでたい。みんなでお祝いします。
近所でお友達になった犬やかわいがってくださった方々に入所のご挨拶と今までのお礼を言いに行ったりもします。
 

パピーウォーキング修了式

修了式は訓練施設で行われます。委託式で子犬と初めて出会ったり、レクチャーに通ってすっかり慣れ親しんだ同じ場所で兄弟犬みんな一緒に修了式に臨みます。
 

その日の朝

修了式に向かう朝は子犬がこれまで使っていたケージを片付けます。余ったドッグフードも車に積みます。

もともとケージをはじめ、食器やお手入れグッズも全て盲導犬協会からお借りしたものだったのです。

これまで当たり前にあった子犬に関わるものがなくなって部屋が広く感じます。

子犬はどこまでわかっているのかな。でもいつもと違う様子はわかっていると思います。
 

修了式

パピーウォーキング修了式では盲導犬協会のスタッフからこれまでの感謝状を受取り、これからの子犬たちの道についての説明を受けます。

盲導犬への道、キャリアチェンジするかもしれないこと、引退したらどうなるかなど。

訓練を修了し、盲導犬になることが決まった時や、キャリアチェンジすることが決まった時、また盲導犬を引退する時など、節目節目でパピーウォーカーに連絡をくださることなどの説明をうけます。

1歳になった子犬たちはその間それぞれのパピーウォーカーの側に伏せて静かに待てるまでに成長しています。
 

いままでありがとう、元気でね

修了式の最後にパピーウォーカーがそれぞれ盲導犬協会のスタッフに子犬のリードを渡し、子犬たちは犬舎へと入っていきます。

寂しいのは人間だけでしょうか。子犬たちは兄弟一緒で楽しそうに犬舎へ向かいます。

これまで預かっていたバトンを訓練士さんにお渡しする気持ちで、子犬たちがこれからも元気で歩んでくれるように祈るばかりです。
 

修了式を終えて(筆者の体験)

盲導犬は目の見えない人のパートナーとなってお出かけを手助けします。

以前盲導犬のユーザーの話しを聞く機会があった時に、白杖で歩く時は自分の全神経を集中させて歩くような感覚があるが、盲導犬と歩く時は「さあ行こう!」と気楽な気持ちで歩けると話されていたことが印象的でした。

また次のようにも話されました。
盲導犬と一緒だと顔に風を感じて歩ける。そして側に盲導犬がいてくれることで心強いと。

それはパピーウォーカーの私も同じだったと感じています。子犬と歩くことで、近所でも通ったことのない道を歩きました。

話したことのない人と話しました。心強い思いも何度もしました。

盲導犬候補の子犬を連れて、普通は犬が行かないところへも経験のために交渉をして入れてもらえるようにチャレンジしました。

その度ごとの子犬たちの「私、大丈夫ちゃんとできる」という誇らしい顔が忘れられません。子犬も一緒にチャレンジしていたのです。

盲導犬候補の子犬との暮らしは私の視野を広げ、盲導犬協会で働く人々や他のボランティアをはじめとした多くの出会いをもたらし、それまで知らなかった世界へ連れていってくれました。

はじめての子犬のパピーウォーキングを修了したとき、寂しすぎて、このボランティアを継続できるかどうか自信がありませんでした。

もし次の子犬を預かったとしてもまた10ヶ月先には修了式があって、これでは私はまた涙の時限爆弾を抱えるだけではないかと思ったことすらあります。

でも、私は今もパピーウォーカーをしています。喜びをもって

2頭目の子犬との暮らしを決めたきっかけは、何頭もパピーウォーカーをされている先輩たちの存在が大きかった。きっとこの先輩たちは私にはまだ見えていないものを見ているはずだと思ったのです。

その後の犬たちの活躍、そして新たなつながり。私はまだ見ていないそして見てみたいと強く思いました。

現在3頭目の子犬と暮らしています。どこまでいけるかわかりませんが、もう少し子犬たちと喜怒哀楽を共にしたいと考えています。
 

まとめ

盲導犬候補の子犬は生まれつき、人の側にいて人を勇気づけ、そして新たな世界へ連れ出す素質を持ち合わせているのではないかと感じることがあります。

盲導犬になったとしてもならなかったとしても人のパートナーとしての歩みを続けるのではないかと。

私と共に歩んだ子犬が成長して、人に必要とされる存在になっていく。涙があってもやっぱりパピーウォーカーは希望の大きなボランティアなのです。

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浅野桃(盲導犬パピーウォーカー)

浅野桃(盲導犬パピーウォーカー)

幼い頃から犬や猫、うさぎ、リスなど動物がそばにいるのが当たり前の環境で育つ。現在は夫、子供たちと共に盲導犬パピーウォーカーとして活動中。パピーウォーカーを志願したのは子犬を育てることで社会貢献できるならチャレンジしてみたいと思ったから。3年が経ち、現在3頭目の子犬と暮らしています。その日々の中で犬は私たち人間のかけがえのないパートナーだと実感しています。

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