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パピーウォーカーの基本情報

パピーウォーカーの基本情報

盲導犬として活躍している犬たちはどこでどのように育っているかご存じですか?

盲導犬候補の子犬を1歳になるまで育てるのがパピーウォーカーの役割ですが、意外と知られていないことが多いと思います。

パピーウォーカーについて
パピーウォーカーとは盲導犬候補の子犬を預かり育てるボランティアのこと
盲導犬候補の子犬を育てる期間は決まっている
パピーウォーカーになるためにはいくつかの条件を満たさなければいけない
将来盲導犬として活躍する子犬を育てるためパピーウォーカーにはさまざまな役割がある

単純に子犬を育てるだけではなく、将来盲導犬として活躍できる子犬を育てるやりがいのあるボランティアがパピーウォーカーなのです。

現在パピーウォーカーとして盲導犬候補の子犬を育てている筆者が体験も交えながら、お話しします。
 

パピーウォーカーってなに?

パピーウォーカーになるのは?

パピーウォーカーとは盲導犬候補の子犬を盲導犬協会から家庭に預かって飼育するボランティアのことです。
→日本盲導犬協会(パピーウォーカーとは?)

子犬がパピーウォーカーのもとで生活する期間は生後約2ヶ月から1歳になるまでの約10ヶ月間です。
 

盲導犬候補の子犬とは

盲導犬候補の子犬は盲導犬の繁殖犬から産まれます。繁殖犬は盲導犬の資質を持ったお父さん犬、お母さん犬のことで、各盲導犬協会で計画して繁殖を行っています。

現在の日本においての盲導犬の犬種は主に下記のようになっています。

ラブラドールレトリバー
ゴールデンレトリバー
ラブラドールレトリバーとゴールデンレトリバーのミックス
 

私、パピーウォーカーをしています

私はパピーウォーカーをしています。これまでに2頭の子犬を育て、現在3頭目の子犬と暮らしています。
 

なぜパピーウォーカーをしようと思ったのか

私の家庭はごく普通です。夫と2人の子どもがいます。子ども達が動物との暮らしを強く望んでいました。

でも母である私には自信がありませんでした。これ以上のことを抱えるということに。

実際、何年も金魚やカブトムシ、ハムスターといった小動物で子ども達の心を満たしながら、ごまかすように過ごしていました。

子ども達の成長とともに、もしかしたら、今なら犬と暮らし始められるかなと思ったことがはじまりです。

もちろん、ペットショップにも行きました。私の場合はすぐにこの子がいいなという出会いは与えられませんでした。

そんな時、ペットショップからではない犬の迎え方もあるよ!という友人の言葉が心に響き、模索した中にパピーウォーカーがあったのです。

父が目を患ったことがあり、短期間でも目を使えない不安と不自由さを身近に感じたことがあったので盲導犬を育てて、お役に立てるならこんなに嬉しいことはないなとその時思いました。

でも、私自身、活躍している盲導犬に会ったこともないし、パピーウォーカーをしている人なんて聞いたこともない。盲導犬施設がどこにあるのかもわからない。

さらにインターネットで調べても、近いところに盲導犬施設は見当たりませんでした。全ては本の中かテレビでたまに見るもののようでした。

半ば諦め半分で盲導犬協会に連絡したところ、少し距離はありますが私のところでもパピーウォーカーになれる可能性があるとお返事をいただいたのです。
 

パピーウォーカーの条件

パピーウォーカー条件
パピーウォーカーになるには特に資格などは必要ありません。
ですが、いくつかの条件があります。

室内で飼育が可能なこと
車を所有していて、訓練施設でのレクチャーに参加できること
留守が少ないこと
ペット犬を飼育していないこと
家族全員で犬のしつけに参加できること
集合住宅の場合は住宅管理側の許可、承諾があること
子犬の成長にかかる費用の一部を負担できること
 

細かいところは各盲導犬協会によって違いがあり、ひとり住まいではないことや具体的な年齢制限を設けているところもあります。

時々、「パピーウォーカーの家庭には子どもがいないといけないの?」と質問を受けることがありますが、そんなことはありません。

むしろ子どもについては「乳幼児がいないこと」や「小学校高学年未満の子どもがいないこと」を条件にしている協会もあります。

またパピーウォーカーになる条件と具体的な流れはこちらに詳しく掲載しています。
パピーウォーカーになるための条件と流れ

 

パピーウォーカーの役割

パピーウォーカーの役割

パピーウォーカーにはいくつかの役割があります。
その中にはペットとして犬を迎えることとは違った役割もあります。
 

信頼関係を築く

愛情いっぱいに育てること。これがパピーウォーカーの一番の役割です。

いつも私がいるところに子犬がいます。どのくらい一緒にいるかというと、トイレにもついてきます。

「たくさん触れ合って名前も呼んで、信頼関係を築いてくださいね。それが後の訓練にも盲導犬としての暮らしにも役立ちます」と説明を受けましたが、実際に暮らしてみると、いつも一緒の暮らしの中で自然と信頼関係は築けると感じています。

犬の姿をしているけれど、私が産んだんじゃないかと思うことがあるほど、我が子同然です。
 

社会性を身に着けさせる

盲導犬はどんな場所でも落ち着いて過ごせる事が大切です。

子犬のうちから色々なところに連れて行って多くの経験させます。そのようにして社会性を養うのもパピーウォーカーの仕事です。

日々の散歩でも車の交通量の多いところを通ってみたり、踏切近くにしばらくいて遮断機の降りる様子や電車を見せたり、わざと工事現場の横を通って大きな音に慣れさせたりしています。

盲導犬候補の子犬であることをお知らせして、許可が得られた場合には郵便局や市役所に一緒に行って、用事をする間そばで待たせたり、レストランに連れていくこともあります。
 

ルールを教える

将来に渡って人の社会で生きていくために、子犬のうちからルールを教えています。

人間の食べ物を与えない
排泄を済ませてから散歩に連れて行く
散歩中は顔をあげて、人の横を歩かせる
テーブルや椅子に手をかけたり、ソファやベッドに乗ったりしないようにしつける
 

などです。最近は室内で暮らすペットの犬も多いので、盲導犬候補の子犬でなくてもこのルールを身に着けておくと役に立ちます。

例えば「人間の食べ物を与えない」ことは結果的に犬の健康管理に繋がります。人間の食べ物を与えてしまうことでドッグフードを食べなくなって困っているという飼い主さんの声を聞くことがありますが、それも防ぐことができます。

また「排泄を済ませてから散歩に連れて行く」ことは一見難しいことのように感じるかもしれませんが、習慣づけてしまえばメリットがあります。

「うちの子は散歩でしか排泄しないから雨が続くと困るのよね」なんてことはなくなりますし、散歩で排泄させないことは町の美化にも繋がります。子犬のトイレトレーニングについては別記事で述べます。
参考:トイレのしつけ方法とご褒美のあげ方

私が教わり、実践している子犬へのしつけは決して理不尽なものではないと感じています。
 

健康管理

当然のことではありますが、パピーウォーカーとして子犬の健康に気を付けています。

日々の健康管理の中で変わったことがあったり、心配なことがあった時にはすぐに訓練センターに連絡して指示を仰いでいます

その他にも健康管理として次のことを行っています。

フィラリアやノミダニの予防薬の定期的な投与
子犬に必要な混合ワクチンや狂犬病の予防接種に連れて行く
爪切り
湿疹などがないか皮膚のチェック
 

パピーウォーカーの基本情報まとめ

パピーウォーカーの基本情報まとめ

パピーウォーカーに必要なのは何より愛です。愛情を持って接していれば子犬に必ず伝わり成長していきます。

私は子犬との暮らしの中で犬が人のかけがえのないパートナーとなってくれることを実感しています。

子犬と暮らす10ヶ月間は家族にとっても思い出深い、他に代え難い時間になること間違いありません。

パピーウォーカーは、人の目となり癒しとなる犬の大切な時期をお預かりするやりがいのあるボランティアなのです。

またパピーウォーカー候補の1日の過ごし方について。
食事や散歩、しつけなどの過ごし方を体験談を交えてご紹介しています。
パピーウォーカーの子犬の1日の過ごし方

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浅野桃(盲導犬パピーウォーカー)

浅野桃(盲導犬パピーウォーカー)

幼い頃から犬や猫、うさぎ、リスなど動物がそばにいるのが当たり前の環境で育つ。現在は夫、子供たちと共に盲導犬パピーウォーカーとして活動中。パピーウォーカーを志願したのは子犬を育てることで社会貢献できるならチャレンジしてみたいと思ったから。3年が経ち、現在3頭目の子犬と暮らしています。その日々の中で犬は私たち人間のかけがえのないパートナーだと実感しています。

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