盲導犬候補の子犬との暮らしの中で困ったこと
盲導犬候補の子犬を生後約2ヶ月から1歳になるまで家庭に預かって育てるパピーウォーカーの私が、子犬との暮らしで困ったことがいくつかあります。
かわいい子犬との暮らし。そして成長を見守る喜び。それに尽きるといいたいところですが、いいことばかりではありません。
10ヶ月に渡る子犬との生活の中で困ったことを現役パピーウォーカーの筆者がお話しします。
目次
子犬との暮らしの中で特に気をつけていること
何よりもまず気をつけていることは誤飲です。
レトリバー種の子犬はとにかく好奇心旺盛で何でも口にしてしまいますから、本当に注意が必要なのです。
誤飲を防ぐために次のことを徹底しています。
子犬が食べてしまう可能性のあるものはもちろんのこと、子犬に咥えられて壊されたら困るものも床には置きません。
※詳しくは盲導犬の子犬の暮らしに掲載しています
→盲導犬の子犬の暮らしの様子まとめ
叱らなくて良い環境を整えることの大事さ
例えば物を出しっぱなしにしていて、子犬がそれを取ったなら、それを取り返し、子犬を叱る必要がでてきます。
こちらで予防できることは予防しておくとお互いにとって快適な空間を作ることができます。
床だけでなく、低い机の上のものは子犬のうちからすぐに口が届いてしまいます。
元気な子犬の場合、気がついたらこたつの机の上に乗っていた!なんてことも。これにはびっくり。慌てて子犬を下ろします。
もう少し大きくなると、なんとテーブルにも足が届く大きさになります。
これはもうお手上げです。
もともとテーブルに足をかけたりしない子犬もたくさんいますが、もしかけてしまう場合は根気強く、足をかけないように教える必要があります。
しつけの考え方はこちらに掲載しています。
→しつけは果たして必要?
好奇心旺盛な子犬は特に注意
盲導犬候補の子犬ではないですが、知り合いのラブラドールは家族の鞄をあさってその中の物を取って食べると聞きました。
鞄の中もだめとなると子犬のいるところにはもうなにも置けません。
こんな訳でとにかく好奇心旺盛で食欲もある子犬の誤飲を防ぐためには注意と家族の協力が不可欠です。
もし誤飲してしまったら。病院へ行って吐かせる?レントゲン?最悪な場合は開腹手術?そこまでいかなくても、うんちに出てこないか何日間かチェックすることになります。
食べたと気づいた時には心配のあまりインターネットにかじりつき、犬はこれを食べても大丈夫なのかなど必死に検索してしまうでしょう。
誤飲させてしまった経験
私も誤飲させてしまった経験があります。うちにいた子犬が嘔吐したのです。犬は比較的嘔吐しやすい動物のようですが、何度か続けて嘔吐しました。
何か誤飲してしまったかどうか、心当たりはありませんでした。でももしかしたら何か食べてしまったのかなと不安がよぎりました。
何度目かの嘔吐で出てきたのは輪ゴムでした。どこで食べたのかわかりません。でもとにかく輪ゴムがでてきて元気になりました。
片付けていたつもりだったのですが、どこかにあったのだと思います。注意をしていても事故は起こらないとは限りません。
子犬の抜け毛問題
子犬と暮らすようになって思うこと。それは抜け毛がひどいということです。
ペットとして人気の高いトイプードルは抜け毛が少ないと聞きました。それが人気のひとつの理由なのだとか。なるほど。うなずけます。
盲導犬の犬種はほとんどの場合、ラブラドールレトリバー、ゴールデンレトリバー、ラブラドールレトリバーとゴールデンレトリバーのミックスなのですが、年中毛が抜けます。
ちょっと掃除をさぼると家中毛だらけになります。子犬のブラッシング。もちろんしています。でもやっぱり抜けます。
私の場合、フローリングはまだいいのですが、カーペットについた毛は掃除が難しく、色々な掃除道具を買ってはみましたが、毎日の抜け毛の量に掃除が追いついていないのが実状です。
どなたかよい対処の方法があれば教えてください。
子犬の体調不良
子犬との暮らしの中で、一番困るのは子犬の元気がなくなることです。
元気でさえいてくれればそれでいい!とさえ思います。
でも元気がない時には本当に心配で不安になってしまいます。
子犬の体調不良の中で起こりやすいものは次の通りです。
下痢
下痢は子犬の間に全くならないということはないのではないかと思うほどよく起こります。
ドッグフードを水でふやかして消化を助けたり、一回に与える量を減らしたりして様子をみます。
1回便がゆるい程度で食欲もあり、元気ならば問題はありません。
与えているドッグフードが合っていないと判断された場合にはドッグフードが変わることもあります。
皮下点滴(筆者の体験)
私の家にいた子犬の下痢がなかなか治らず、指示を受けて近くの獣医にかかったことがあります。
その時、脱水症状が起きかけているということで皮下点滴を受けることになりました。
私にとって皮下点滴を受けさせるのは初めての経験でした。
処置を受けた子犬は背中に点滴の入った袋を背負ったような格好で出てきました。
身体に入った点滴は半日から1日かけてゆっくりと体内に吸収されていくと説明をうけました。
その日の子犬は目の焦点が合わず、自分の場所であるケージの中に入って、伏せもせず一晩中座ったまま。
このままどうにかなってしまったらどうしようかととても不安な一夜を過ごしました。
何も知らなかった私は点滴をしてもらったら即効性があり、すぐに良くなると勝手に思い込んでいたのです。
眠れない一夜の後、ゆっくりながら下痢は快方に向かっていきました。投薬と餌を1日4回に分けて与えることで回復していきました。
子犬に目の輝きが戻ったときの安堵感は忘れることができません。
嘔吐
嘔吐も子犬がよくなる体調不良です。突然嘔吐して、ドロドロになったドッグフードが出てきてびっくりしますが、たいていは一過性のことが多いです。
嘔吐してもケロッと元気にしていて食欲があれば大丈夫です。
足の不調
子犬が足の痛みを訴えることがあります。散歩でも歩きにくそうにします。
その場合、成長痛とも言われる汎骨炎の可能性があります。
1本の足だけなることもありますし、複数同時に、または時期を変えて他の足がなることもあるようです。
特に外傷がないのにどこかの足をかばうように歩いたり、痛そうにするときには調べてもらってください。
皮膚の不調
ラブラドールレトリバーやゴールデンレトリバーはアンダーコートが密生していて、皮膚炎にかかりやすい犬種です。
特に夏場は湿疹が出やすい季節です。湿疹は皮膚が柔らかいおなか周りにでることが多いですが、ブラッシングの時などによくみると背中の部分にできていることもよくあります。
皮膚炎は細菌性のこともありますので、通院して原因を突き止め、投薬する必要があります。
皮膚の炎症を抑えるシャンプーを処方されることもあります。
風邪
犬も風邪をひくのです。咳がでたりします。
ケンネルコフと呼ばれる伝染性気管支炎は犬同士が接触することでうつります。
子犬の場合肺炎を引き起こし、重症化することがあるので注意が必要です。
盲導犬候補の子犬との暮らしの中で困ったこと まとめ
子犬をあずかる10ヶ月の間元気で大きくなってくれればそれが一番です。
抜け毛の問題も書きましたが健康問題にくらべたら、なんてことありません。
ときには子犬が体調を崩して泣きながら側にいることもあります。しつけの考え方はこちらに掲載しています。でも振り返ればそれも子犬との絆を大きく強めてくれる出来事なのでした。